読切り三国志(よみきりさんごくし) — 井波律子

読切り三国志

突然ですが、皆さん、三国志は読んだことありますか?
わたしは、子供の頃に学校の図書室で児童向けのを読んだ事はありますが、あんまり内容覚えてません(^^;
(三国志ファンの方には申し訳ないです。)

いつかは読んでみたい、と思いながら早三十年近く経ってしまいました…。
そこで今回、一冊で三国志がわかる『読切り三国志』という本を読んでみました。

そもそも、三国志とは?

そもそも、三国志とは、どんな内容でしょうか?

中国の三国時代とは184年~280年までのことを指します。

三国とはのことです。
後漢末期の混乱から、やがて魏、呉、蜀、の三国が起こり、後に滅亡するまでの物語です。
元々、出身も、身分もばらばらな人々が、乱世を背景に、それぞれのしあがって、英雄姦雄入り乱れて、覇権を掛けて武勇と智謀を競い合います。

三国志を元にしたストーリーは何度も映像化されていますので、ドラマや映画をご覧になった方もいるかもしれません。
またゲームにもなってますね。

私はジョン・ウー監督のレッドクリフを見た事があります。
レッドクリフは三国志きっての名場面、”赤壁”を映画化したものです。
戦闘シーンやスケールが大きくて面白いです。

”三国志”と”三国演義”

この『読切り三国志』は正史の”三国志”を主にまとめ本です。
その中で時々、”三国演義”との違いも紹介されます。

初めて聞いた時は”三国志”と”三国演義”って何?って思いますよね。
”三国志”は”三国志じゃないの?、となるんですが、
実は、三国志には正史と言われる”三国志”と小説の”三国演義”があります。

正史”三国志”は西晋時代の陳寿(ちんじゅ)が書いた歴史書です。
小説ではありません。
西晋(265年-316年)は三国時代の後に中国を統一した王朝です。
魏の丞相だった司馬懿(しばい)の孫、司馬炎(しばえん)によって建てられました。

陳寿の死後、約130年後にその歴史書に裴松之(はいしょうし)という人が、そこにさまざまな本から注釈をつけたそうです。

一方、”三国演義”は明(1368年-1644年)の羅貫中が書いた長編小説です。
9世紀頃から盛り場で講釈師によって話されていた講談をまとめたものだそうです。

どちらも後漢末期の混乱から、魏、呉、蜀、の三国が起こり、やがて滅亡するまでが描かれています。

違いは正史が、あくまで歴史を公平に描いているのに対し、『三国演義』の方は蜀の劉備を正義に、魏の曹操を悪役に描いている点とのことです。

わたしが図書館で読んだ『三国志』は実は『三国演義』でした。
有名な吉川英治の『三国志』も『三国演義』です。
日本では基本的に『三国演義』を『三国志』と呼んでいる事が多いようです。

『読切り三国志』では主に正史『三国志』の陳寿が書いた歴史書と、裴松之の注釈を元にして、時々、『三国演義』の方も取り上げられています。
時間が会ったら、両方読み比べてみると、面白いかもしれません。

主な登場人物

私でも名前くらい聞いた事あるよ、という大物のみをちらっと紹介します。

劉備

蜀の親分。
仲間の関羽と張飛と苦楽をともにしながら、稀代の天才軍師、孔明を迎え入れる。
その「天下三部の計」によりのちに蜀を建国する。

関羽

劉備の腹心の一人。後に道教の神様になり、関帝廟で有名な人。

張飛

劉備の腹心の一人。「万人の敵(一人で一万人相手に出来る)」と称賛された勇将。

諸葛亮(孔明)

諸葛亮が名前。孔明は字(あざな)だそうです。
(昔の中国人は名前を使わず、普段は字で呼び合う。)
劉備が三顧の礼で迎え入れた軍師。
劉備に「天下三部の計」を授け、呉と連合して魏に立ち向かうように進言する。
赤壁の戦いで、劉備は呉と手を組み、曹操に打ち勝つ。

曹操

魏を建国した『三国演義』では悪玉で劉備の敵。
奸智に長けているが、能力主義で、昔の敵も味方に迎え入れる等、懐が深い。

表紙

まず表紙が、ちょっとドン・キホーテっぽい、と思ってしまいました…!
そんな人物出て来るの?そもそも、そういう話だっけ??と思いつつ読み始めました。

(※私の読んだ文庫の版が古く、新装版ではカラフルな背景に昔の中国人物風のイラストがレイアウトされてました。
もし古い方の版を購入された方は見てみてください。)

内容

内容は駆け足ですが、良くまとまっていて読みやすいです。
一章一章が短く、ポイントが分かりやすい。
三国志を良く知らない自分でも聞いた事のあるセリフや、場面などもちゃんと押さえられています。

章の最後にその章の内容で中心になった人物の略歴があるので、その後のその人物の動きがわかるのも良いです。
自分の好きなキャラクターを見つけてみるのも良いかもしれません。

因みに私は陳宮(ちんきゅう)が良いな、と思いました。
元々、曹操のブレーンの一人でしたが、曹操と馬が合わず、曹操の盟友で武将の一人、張邈を唆し、三国志きっての強者、呂布を引き入れて、何と反旗を翻してしまいます。
別に良い奴でもなく、のちのち、敗れて処刑されるのですが、その時の潔さが逆に好きだなと思いました。

この本で唯一惜しいのは、索引がないことです。
展開が目まぐるしいので、この人は誰だっけ?となる事がたまにあり、巻末に人物と主要場面の索引を付けて頂けたらありがたかったです。

まとめ

全体的に空き時間にも、さっと読みやすくおすすめです。

因みに、表紙のドン・キホーテ(?)は多分曹操?
曹操は豪気で、智謀に優れた性格と裏腹に、風采の上がらない小男だったらしいです。!!
劉備は逆に、慎重180cmぐらいある偉丈夫だったそう。

いろいろ細かい発見があって、映画やドラマ、ゲームとの違いを知るのも面白いです。

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